「勝つ演劇」と「自分たちの演劇」
11月29日、「第75回大阪府高等学校演劇研究大会 大阪府大会」を観覧してきました。本校の府大会出場は実に5年ぶりとのことです。以前、大手前に勤務していた頃にも、クラスの生徒が出演する舞台を何度か観る機会がありましたが、そのたびに、普段学校で見る姿とは一味も二味も違う表情に、「演技の力ってすごいなぁ」と感じさせられたものです。また、役者だけでなく、表に立つことの少ない裏方に徹する生徒たちの熱量にも、いつも感激していました。
さて、今回の本校の演目は「同色」。会場に入ろうとしたところ、いつもジャージ姿で見かける生徒たちがホール入口付近にいて、「わぁ、校長先生こんにちは!!」と明るく声をかけてくれました。私はすっかり裏方の生徒だと思い、「頑張ってね」と声をかけると、「はいっ!ありがとうございます!!」と元気いっぱいの返事が返ってきました。
ところが、いざ公演が始まってみると、その生徒たちこそが出演者。しかも、舞台はステージ上だけで完結するものではなく、客席そのものを舞台の一部として使った演出に、早々に驚かされました。テーマも、一見すると“よくある?”高校演劇部の物語のようでいて、「勝つための演劇なのか」「自分が本当に目指す演劇なのか」という葛藤を描いた、非常に問いかけの深い脚本でした。思わずドキッとさせられるセリフも多く、大人の私が引き込まれていくのを感じながら、あっという間の時間でした。終演後は、ただただ感激の一言でした。
結果は「優秀賞」。残念ながら近畿大会への出場は叶いませんでしたが、きっと生徒たちは「自分たちが目指す演劇」を、存分に体現してくれたのではないでしょうか。
演劇部の皆さん、本当にお疲れさまでした。そして、心に残る素敵な時間をありがとうございました。

