2025.08.31校長ブログNEW

Para mi LIFE「生と性のこと」

8月31日、本校大手前ホールを会場に、56期生(私が中学2年から高校3年まで担任をした学年)の赤松悠実さんが主催する「Para mi LIFE」が開催されました。

赤松さんはこれまで、「子育て世帯をひとりぼっちにしない世の中づくり」を掲げ、「Para mi Project」として活動を続けてこられました。子育てをしながら感じた孤独感や悩みを、同じように抱える人たちと共有し、支え合える場を作りたいという思いから生まれたプロジェクトです。これまでには、多様な価値観の交流をめざす「Para mi LAND」、自然との触れ合いを通して社会とのつながりを育む「Para mi FARM」といった取り組みを重ねてこられました。

そして今回は「性教育」に焦点をあて、「Para mi LIFE」という新たなテーマに挑戦されました。ゲストには、NPO法人HIKIDASHIの大石真那さんをお招きし、講演とトークセッションが行われました。会場には、小学校低学年くらいのお子さんを連れた若い保護者の方々が多く参加され、性について子どもにどう伝えるか、学校教育における性教育の不足や課題などについて率直な議論が交わされました。

講演の中では、日本の性教育の弱さや、国際的に推奨される「包括的性教育」の不足が指摘されました。保護者としての視点からも、子どもへの関わり方の難しさや、学校教育だけに任せきりにはできない現実が語られ、私自身、かつて保健体育の教員として耳の痛い部分もありました。しかし同時に、性教育は保健体育の授業だけに限らず、もっと広い視点から社会全体で取り組むべきテーマであることをあらためて考える機会となりました。

「生きること」と「性のこと」は切り離せません。だからこそ、大人自身が学び直し、子どもたちに正しく伝える姿勢を持つことが大切です。今回の赤松さんの挑戦は、そのことを強く教えてくれるものでした。卒業生が自らの体験や思いを形にし、多くの人に問いを投げかける姿は、本当に頼もしく、誇らしいものです。

この「Para mi Project」は49期生の卒業生である野口さん(元サッカー部マネージャー)が裏方で赤松さんを支え、二人で苦心しながら作り上げています。さらに、今回のプロジェクトには多くの卒業生が会場に足を運んでくれていました。このイベントには裏方として卒業生がお手伝いに来ていたり、聴講者として参加してくれている人もいました。先輩や同級生が「彼女たちの挑戦」を応援するために駆けつけてくれているのです。大手前中高で育まれたつながりが、今もなお息づいていることを感じ、これも嬉しく思う出来事でした。

本校としても、このProjectの学びを力に変え、「生」と「性」の教育をより深く、子どもたちと共に学んでいきたいと考えています。