2025.07.16校長ブログNEW

「先生、覚えてますか?」――卒業生が訪ねてきた日

4月から再び大手前に戻ってきて、嬉しいことのひとつが卒業生の訪問や卒業生からの連絡です。
40期生から64期生まで、懐かしい顔が校長室をノックしてくれる日々が続いています。

突然ふらりとやってくる人、事前に連絡をくれる人、保護者としてPTA行事のついでに立ち寄ってくれる人など様々ですが、どの卒業生と会っても思わず顔がほころんでしまいます。

卒業してからの話を聞く時間は、本当に楽しいものです。
社会に出てからの経験や失敗談、時には学生時代の“ここでは書けない”爆笑エピソードまで(笑)、話を聞きながら「やっぱり学校っていい場所だな」と改めて感じさせてもらっています。

昨日は、58期生の西 建太郎くんが突然学校に訪ねてきてくれました。
中高時代はサッカー部に所属し、小柄ながら運動量が多く、技術も高い印象が残っている彼。
ところが、久しぶりに目の前に現れた彼はまるで別人のようにたくましくなっていて、正直、一瞬誰かわかりませんでした(笑)。それもそのはず、34歳になり、今では3歳と0歳の2人のお子さんのお父さんに。
それでも、じっと顔を見ていると、目の奥にあの頃の“かわいい(ちょっと失礼?)西くん”の面影が残っていて、より懐かしさが増しました。

彼は2010年に高校を卒業した後、お父さんの助言もあり、「人と同じは嫌だ!」という強い気持ちから、なんと日本の大学ではなく、アメリカの大学へ進学を決意したのです。
英語への興味も後押しとなり、まずはシアトルのコミュニティカレッジ(短期大学)に入学。英語力を磨きながら学ぶ中で、ビジネスへの関心が芽生え、短大卒業後は4年制大学に編入。ビジネスとファイナンスを専攻し、本格的にキャリアへの一歩を踏み出しました。
異国の地での学生生活は、決して簡単なものではなかったそうです。言葉や文化の壁、学業の厳しさ…それでも彼は諦めず、ひたむきに努力を続け、無事に卒業。

こうした経験が評価され、日本帰国後は『ユニクロ』へ入社。店長から始まり、エリアマネージャー、本部営業、海外マーケティング責任者へとステップアップしていきました。
現在は地元・関西を拠点に、グローバル企業『P&G』でその手腕を発揮しています。
誰とも違う道を選び、苦労の末に掴んだキャリアは、まさに「挑戦すること」で広がる可能性の大きさを改めて感じさせてくれます。

もちろん、彼のキャリアそのものがすごいというだけでなく、その過程で得た“自信”と“経験”が、今の彼をつくっているのだと話をしながら感じました。
また、話し方や言葉の端々から、彼が「自分の価値観や優先順位をしっかりと持っている」ことが伝わってきて、とても頼もしかったです。

生徒のみなさん。
“経験”は、成長のために欠かせない「力」です。
西くんのように、自分らしいチャレンジを恐れず、一歩を踏み出してみてください。
その一歩が、きっといつか自信となって、誰かの力になる日が来るはずです。